マーケティングの世界では、「男性はスペックで買う」「女性は口コミで買う」と言う定説があります。しかし「なぜ商品購入のモチベーションに違いがあるのか?」が解説されることは多くありません。それをマンモスを追いかけドングリを拾っていた太古の時代に当てはめてみると、「なるほど」と思うことがあったので、その二つを使って解説します。
男性脳と女性脳
性別で違いがあるとは限りませんが、この記事では宜上「マンモスを追いかけていた脳」を「男性脳」、「ドングリを拾っていた脳」を「女性脳」と呼ぶことにします。
男性脳はかつて、チームで協力して、早く多くのマンモスを仕留めるのが仕事でした。そのため、何かを選ぶのに重要視するのは「マンモスの居場所がわかるか」「それは狩れそうか」という点です。
女性脳はかつて、村や子どもを守りドングリを集めるのが仕事でした。そのため女性脳同士で協力して「ドングリのある場所」「そのドングリを食べるとどうなるのか」という情報を共有していました。
商品を検討するとき、男性脳と女性脳の注目ポイントを見てみましょう。
男性は「これと決めた商品」を検討してサッと購入しますが、女性は「いま必要なもの」でなくても、いいと感じると購入します。女性は常にアンテナを張って、より良いドングリを求め、仲間の女性脳の情報も頼りにドングリを備蓄しておきたいのは太古からの習性なのです。
シェア、口コミのモチベーション
このことを考えると、情報をシェアする、口コミするモチベーションも男性脳と女性脳で大きく違うはずです。
例えばこのシェアは、同じことを言っているようですが、そのモチベーションは
こんな感じです
男性脳はチームの中で、強いリーダーシップをアピールしなければならないため、「おれ、すごい、マンモス狩れる」という自己顕示欲。対して女性脳は、「じぶんはいいドングリを見つけた!伝えなければ!」という使命感が情報をシェアするモチベーションです。
シェアや口コミはポジティブなことだけではありません。女性脳はじぶんたちが弱いこと、協力して村を守らなければいけないことを知っています。ドングリを食べてお腹を下したら、女性脳は「これは悪いドングリだったよ、気をつけて」と注意喚起します、対して男性は「まずいラーメン知っているおれすごい」という、やはり自己顕示欲です。
女性脳はなぜキラキラしたインフルエンサーを求めるのか
そんなはずない!女性脳だって、じぶんを語りキラキラした日常をシェアしてるだろ、あれこそ自己顕示欲じゃないか!とお怒りの男性脳のみなさん、ちょっと待ってください!
女性脳が他人から信用されるには「この人の勧めるドングリは間違いない」ということ。しかし女性脳の世界には、「目立ちすぎると嫌われて村八分になる」というやっかいな危険性があります。村八分→すなわち死、女性脳が最も危惧する状態です。男性脳では行動力があるリーダーは支持されますが、女性脳の世界では「迷い込んだ道で偶然おいしいドングリを見つけて…まぐれなんですぅ><」というスタンスで、周囲の嫉妬とうまく付き合うのがかしこい女性脳の生き方でした。
そして現代、村という枠を出て、インターネットでは世界中のドングリを手に入れることができます。しかし、公式の情報だけでは判断しない女性脳は、たくさんのドングリ情報の中で大いに迷います。そんななか、じぶんのドングリ情報を惜しげもなくアップしてくれるあの人、「この人の勧めるドングリは間違いない」と強い支持を集めるのが「インフルエンサー」です。つまりブログやインスタグラムは、「わたしのドングリはおいしい」マウンティングの場であり、彼女たちは厳しい女性脳の目に誠実に答え支持を集める覇者たちなのです。
最後におわび
はい、すみません!!!
あっ怒らないで!!でもなんとなく「わかる」部分ありませんでしたか?わたしは人の行動や欲求が、「どこからくるものなのか」とても興味があります。100年前、1000年前の人ならどう感じる?日本人以外ならどう感じる?と考えると、新しい発見があったり、逆にバイアスのかかった見え方に気がついたりします。それはきっと、デザインの手がかりになります。
現代では男性女性の役割も大きく変わり、性別だけで要望を分析するのはむずかしいですが、求められている情報を提示できているか?シェアしたいモチベーションを刺激しているか?考えるきっかけになるとうれしいです。
この話は前から考えていたものですが、言語化しようと思ったのは「ネットで「女性」に売る」という本を読んで、とても面白かったからです。女性脳のわたしから見ても納得!の「売れる」本でした。ご興味があればぜひ。